ハオルチアを増やそう!
ハオルチアに限らず、植物の個体はいつかはダメになります。
それは購入後すぐに訪れるかもしれません!
理由は明らかなものから原因不明のものまで多種多様です。
お気に入りの子が見つかったのなら尚の事。
そんな時の為にも早いタイミングでもう1つ保険株を用意したいところです。
今日は増やし方について説明したいと思います。
① 株分け
前の記事にも書いたように、ハオルチアは最高気温が30℃程度、最低気温
が5℃を下回らない10℃前後で、3万Lux程度の光が確保される条件下で、
水と肥料が適度に補給されれば年中成長します。北海道の真冬でも十分成長
してます。
温度が確保出来ないからと言って育たないわけでは無く、成長が遅くなるだ
けなのです。
基本的には繁殖力の旺盛な植物なので、数年も育ててると根本から仔株を吹
きます。この子株をいつまでも付けっぱなしにしておくと、株の間が蒸れた
り親株の形が変形して葉が小さくなったりペラペラに薄くなったりもするの
で、仔株を外して植え替えましょう。
仔株を外す時、親株の茎からカッターなどで切って切り口が生々しい場合は、
切り口から菌感染する事があるので、1日乾燥させるかベンレートを少量の
水で溶き塗ってあげましょう。数時間で乾きます。
外した仔株は光を当て過ぎずに発根を待ちます。
生存本能を掻き立てるために、あえて温度差のある環境で管理するのがいい
と思います。発根が確認出来たら、植えて水やりを開始します。
② 葉挿し
仔株を吹きづらい品種から仔株を得る方法で、エケベリアなどでは積極的に
行われています。
ただ、ハオルチアの中でもあまり適さない品種も存在します。
方法は、比較的元気な葉を付け根からはずして日陰で放置、葉の付け根から
発根が確認出来たら植えて水やりを開始します。
植えた直後は1週間程遮光してあげるといいかもしれません。
※ 茎から葉を外す時、メスやカッターで軽く切り目を入れて、茎に向かって
軽く押し込みながら横にずらす様に外すと上手く行きます。
③ 芯えぐり
仔も吹かない、葉挿しも難しい品種には芯えぐりをします。
錦(斑入り)株の場合で、特に新しい葉( 成長点からの新葉 ) に斑が無くなって
しまった場合、そのまま成長するといずれ斑入りの外葉が枯れ、折角の斑が
消失してしまいただの青苗になってしまいます。
そんな可能性が想定される生長点になってしまった株は、メスやカッターな
どで成長点付近の葉を強制的に外して、斑の残っている葉まで全て外してし
まいます。確率的に、斑入りの葉の根元からは斑入りの葉が出てくることが
想定されます。
成長点を失った株の切り口から新たに仔株を吹かせ、ある程度大きく成長し
たら切り離し発根管理します。
④ 胴切り
胴切りも基本的に芯えぐりと同じですが、斑の入っていない部分の株を生か
さない芯えぐりに対し、胴切りは切り取った上部の株も残し、さらに成長点
を失った親株の切り口から新たに仔株を吹かせる方法。
テグスなどを葉の隙間に巻いて上部をチョンパします。
テグス自体が細すぎるとちぎれる可能性があるので体感ですがダイソーで買
うなら0.3mmはあったほうがいいと思います。
⑤ 組織培養
これはそのうち詳しく説明しようと思いますが、簡単に言うと特別な培地に
花芽等を植え込み、新しい仔株を作り出す方法です。
⑥ 実生(ミショウ)
これまでの増やし方は、全て親株と同じものを増やす事 ( クローン ) を目的
としてきましたが、最後に新しいオリジナルの品種を作る方法を紹介したい
と思います。
ハオルチアは「自家不和合性」なので、同じ株から出ている花芽から採れた
花粉をつけても結実しません。
また、クローンもダメなので葉挿しで増やした株同士も受粉できないので、
確実に遺伝子の異なる2つの株を用意しましょう。
例として、斑入りの株があるけど葉の形や色に変化を持たせたい時、斑入り
の雌しべ ( 柱頭 : めしべの頂部で花粉の付く所 ) に変化を掛け合わせたい特徴
を持つ株の雄しべ ( 葯 : おしべの先の花粉が入った袋 ) を付けて受粉させます。
この時、花びらはあらかじめ取っておくと作業しやすいです。
受精すると個体差はありますが、1週間程度で子房が膨らんできます。
種が熟してくると鞘が濃い緑色から茶色に変わり、やがて先端が割れてきま
すので、種を採種しましょう。
採種出来るようになるまでは1ヶ月程かかると思います。
熟した種が弾けて飛び散ってしまう事があるので、毎日の観察と頃合いを見
て飛散防止の工夫をしましょう。
採種した種は、冷蔵庫で一週間ほど保存してから蒔くと、発芽が良くなると
共に発芽時期も揃うと思います。
春が来たと勘違いさせる感覚といったところでしょうかね。
ただ実生は、受粉させて採種するよりも播種 ( 種まき ) の方が難しいかも。
これに関しては別に紹介したいと思います。
※ 成長・生長について、以前植物学では「生長」。動物学では「成長」と
記載していましたが、現在ではどちらも「成長」に統一されています。
でわでわ(´∀`)ノシ